「ゼロさ〜ま〜」

まるで日本の昔話に出てきそうなお姫様が、その名の人物を探していた。
潜水艇の中は広いので、一部屋ずつ調べていく。

「ふぅ、ここにもいらっしゃらないのね。」

騎士団が数名トランプをしているだけで、その名の人物はいない。
落ち込んだ表情を見せるものの、すぐに表情はパッと明るくなった。
元からこういう性格なのだろう。

「わたくしの夫は、どこにいるのかしら・・・。妻が会いたがっているというのに。」
そんな独り言をいいながら、次の場所に行こうと踵を返す。

「あん?ゼロを探してンのか?奴ならC.C.と一緒にラクシャータんとこにいるゼ」
目線は手元のトランプのまま玉城が答える。

「ガウェインの調整だっけか?」
その中の一人がカードを出しながら言う。
「いや、このまえ受けてたメディカルチェックのことだろ?」
気前よく答えてくれる玉城。
どうやら手持ちのカードが良いらしい。

「わかりましたわ。ラクシャータのところですのね?」
「おう、いるはずだぜ!  よしっ!俺の勝ち!」


玉城の助言通り、ラクシャータの部屋へと少女、カグヤは向かった。

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「ホントは別々にメディカルチェック結果をだすんだけどね。」
フゥ〜、とキセルから口を離し息を吐く。
「でもあんたたちは一緒にガウェインを操縦してる。
シンクロ率を上げるためにも一緒の方がいいと思ってね。」

「ああ、構わない。」仮面をかぶった男、ゼロが答える。
C.C.は、おそらくゼロに無理やり引っ張られてきたのだろう。
やや不機嫌であった。

「それじゃ、結果から言うわね。二人共問題なしよ。」
書類を見ながら、ラクシャータは言った。
「なら私はこれで」
立ち上がって帰ろうとするC.C.をラクシャータが引き止める。
「気が早いわねェ。C.C.、話は最後まで聞く。」
C.C.は元のイスに腰を下ろした。

「さっき問題ないとは言ったけど気になる点がいくつかあったのよ。
C.C.のことなんだけどね。
結果を元にして推測してみたんだけど、C.C.あんたって・・・・」

****

「ゼロさ〜ま〜」
そう言ってラクシャータの部屋に入ったものの目の前には、
褐色の白衣のラクシャータと赤髪の少女、カレンしかいなかった。
どうやら、カレンのメディカルチェックの結果を説明している最中だったらしい。

「ちょっとォ、邪魔しないでちょうだい。ゼロならC.C.と部屋に戻ったわよ。」

この言葉に反応するカレンとカグヤ。
「前から気になっていたんだけど、C.C.は何者ですの?」
「私もよく知らないわよ。C.C.はゼロが騎士団に連れてきたし・・・。」
「ゼロさまが?あの二人はどういう関係なのかしら。」
「さあね。騎士団の誰も知らないわ。」

「はいはい。話をここでしないで。後がつかえてんのよ。」
ラクシャータが二人の会話を遮るが効果はない。

「では、わたくしがC.C.が何者か見極めてきます。妻として当然ですから。」
カグヤはにっこり笑みを浮かべて部屋からでていった。
「え?ちょっと、妻ってどういう・・・」
呆然とするカレン。
「ゼロも大変だわね。でも今日はそっとしとくのが一番かも。」
フゥ、と煙を吐きながらラクシャータは言った。


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初カグヤです。
カグヤってかわい〜ですよね!
この話は少し続きます。